30秒まとめ
- 業者探しから引き渡しまでは全体で1〜2か月が目安。工事そのものは木造なら1〜2週間ほど
- 順序を間違えると損をするのが補助金。契約前の申請が条件のことが多い
- 家財が残っていると解体費用は上がる。先に片付けておくほど安くなる
- 近隣への挨拶は着工の1週間前が目安。騒音と振動、車両の出入りを伝えておく
実家を解体すると決めたあと、では何から始めればよいのか。工事そのものは業者がやってくれるとしても、施主の側にも順番があります。
とくに補助金と家財の片付けは、動く順序を間違えると金額に跳ね返ります。あとから「先にやっておけばよかった」となりやすい部分です。
この記事では、見積もりから引き渡しまでの流れを時系列で整理し、それぞれの段階で施主が何をするのかをまとめます。
解体は全体でどれくらいかかるのか
意外と時間がかかるのが、工事の前段です。
| 段階 | 期間の目安 |
|---|---|
| 業者探し・現地調査・見積もり | 2〜4週間 |
| 契約・補助金の申請・各種届出 | 2〜4週間 |
| 工事(木造30坪程度) | 1〜2週間 |
| 整地・確認・引き渡し | 数日 |
合わせて1〜2か月ほど見ておくと無理がありません。売却の期限が決まっている場合や、補助金の年度末に間に合わせたい場合は、さらに余裕をもって動くほうが安心です。
建物が鉄骨造や鉄筋コンクリート造の場合、工事期間は木造より長くなります。また、後述するアスベストの調査や、道路が狭くて重機が入らないといった事情があると、そのぶん延びます。
見積もりから引き渡しまでの流れ

順を追って見ていきます。施主が動く場面は、思っているより前半に集中しています。
① 補助金の有無を先に確認する
いちばん最初がここです。理由は単純で、多くの自治体では業者と契約する前に申請し、交付決定を受けている必要があるためです。先に契約してしまうと、制度があっても対象外になります。
実家がある市区町村の窓口に電話して、今年度の制度があるか、受付期間はいつまでかを聞くところから始めてください。探し方は実家じまいの補助金はある?使える制度の探し方にまとめています。
② 現地調査と見積もり
電話やメールだけの概算ではなく、現地を見てもらったうえで見積もりを出してもらいます。建物の構造、床面積、前面道路の幅、隣家との距離、残っている家財の量。これらで金額が変わります。
相見積もりは2〜3社が目安です。総額だけでなく、付帯工事(ブロック塀、樹木、物置、浄化槽など)が含まれるかを確認してください。「解体工事一式」とだけ書かれた見積書は、あとから追加が出やすくなります。
③ 契約と、工事前の届出
契約が済むと、工事前の届出に進みます。ここで知っておきたいものが2つあります。
- 建設リサイクル法の届出……床面積80平方メートル以上の建物を解体する場合、着工の7日前までに都道府県知事などへ届け出ることが必要とされています。この届出は本来、発注者である施主の義務ですが、実務では業者が代行することが多いようです
- アスベストの事前調査……解体前に石綿が使われていないかを調べることが求められています。含まれていた場合は除去の費用と期間が加わります
どちらも業者が手配してくれることがほとんどですが、届出の名義が誰になるのかは確認しておくと安心です。
④ 家財の片付けとライフラインの停止
着工までに済ませておく作業です。次の見出しで詳しく書きます。
⑤ 着工から引き渡しまで
足場と養生シートを組み、内装材を手作業で分別して撤去してから、重機で建物を壊していきます。そのあと基礎とコンクリートを撤去し、整地して引き渡しです。
引き渡しのときは、整地の仕上がりと、ブロック塀や樹木など残す予定だったものが残っているかを見てください。売却する予定なら、更地の状態を写真に撮っておくと後で役に立ちます。
着工前に施主が済ませておくこと
ここが費用に効きます。業者任せにできない部分でもあります。
家財を減らしておく
家具や家電が残ったままだと、解体費用に処分費が上乗せされます。先に片付けておくほど、解体の見積もりは下がります。
自治体の処理施設へ自分で持ち込めるものは持ち込み、量が多ければ片付けの業者に頼む形になります。順番は実家の片付けはどこから?順番と費用の目安、業者に頼む場合の選び方は実家の片付けを業者に頼む|費用の内訳と失敗しない選び方にまとめています。
ライフラインを止める
間違えやすいのが水道です。
- 電気……停止を依頼する。引き込み線の撤去も必要になる
- ガス……閉栓に加えて、配管の撤去まで依頼する
- 電話・インターネット……解約を忘れると料金が発生し続ける
- 水道……止めないことが多い。粉じんを抑える散水に使うため、業者に確認してから判断する
浄化槽を使っている場合は、その処理も必要になります。見積もりに含まれているかを見ておいてください。
近隣への挨拶はいつ、どこまで
解体工事は、騒音と振動、粉じん、そして工事車両の出入りを伴います。近隣への挨拶は省かないほうがよい部分です。
タイミングは着工の1週間前あたりが目安です。範囲は両隣と向かい3軒、裏の家までを基本に、工事車両が通る道沿いの家も含めると行き届きます。
伝えるのは、工事の期間、作業の時間帯、車両が停まる位置の3点です。業者が代わりに回ってくれることも多いのですが、施主も一緒に顔を出しておくと、その後の話が通りやすくなります。とくに、まだその土地に親戚が住んでいる場合や、売却まで時間がかかりそうな場合は効いてきます。
粗品を持参するなら500〜1,000円程度のもので十分です。タオルや洗剤など、好みが分かれないものが選ばれています。
工事が終わったあとに必要なこと
更地になって終わり、ではありません。2つ残っています。
ひとつは建物滅失登記です。建物を取り壊したあと、1か月以内に申請することが必要とされています。手続きの詳細はここでは触れませんので、法務局の窓口か土地家屋調査士にご確認ください。
もうひとつは固定資産税の変化です。建物がなくなると住宅用地の特例から外れ、土地の固定資産税が上がります。解体を選ぶかどうかの判断そのものは実家を処分するか、残すか。判断の分かれ道で費用と手間を比較していますので、まだ迷っている段階ならそちらを先に読んでみてください。
補助金を使った場合は、工事後に実績報告書の提出を求められるのが一般的です。期限があるので、交付決定の書類と一緒に確認しておいてください。
期間が延びるのはどんなときか
予定どおりに進まない要因は、だいたい次のどれかです。
- アスベストが見つかった……除去の作業と費用が加わる
- 前面道路が狭い……大型の重機やトラックが入れず、小分けの搬出になる
- 家財が想定より多かった……分別と搬出に日数がかかる
- 天候……雨や強風の日は作業を止めることがある
- 地中埋設物が出てきた……古い基礎や浄化槽、井戸などが埋まっていることがある
最後の地中埋設物は、掘ってみるまで分からないため、見積もりの段階では読みきれません。出てきた場合にどう精算するのかを、契約前に聞いておくと、あとで慌てずに済みます。
よくある質問(FAQ)
まとめ
解体は、業者探しから引き渡しまで全体で1〜2か月が目安です。工事そのものより、その前の段取りに時間がかかります。
順序で気をつけたいのは2つ。補助金は契約前に申請すること、そして家財は先に減らしておくことです。どちらも後から取り返しがつきにくく、そのまま金額に響きます。
近隣への挨拶は着工の1週間前が目安で、両隣と向かい3軒、裏の家までが基本の範囲です。業者が回ってくれる場合も、施主が一緒に顔を出しておくと、その後がなめらかになります。
まだ解体するかどうかを迷っている段階なら、誰に相談すればよいかから整理してみてください。実家じまいは誰に相談する?窓口の選び方と相談前の準備にまとめています。
制度や費用は時期・自治体・個別の状況によって変わります。実際の判断は専門家や自治体の窓口でご確認ください。
