上棟式とは?流れ・やること・費用まで施主の疑問をまとめて解説

上棟式とは?流れ・やること・費用まで施主の疑問をまとめて解説

30秒でわかる上棟式

  • 上棟式(じょうとうしき)は、家の骨組みが組み上がる「棟上げ」のタイミングで行う儀式。
    これまでの工事の無事への感謝と、完成までの安全を祈ります。
  • 進行は施工会社・棟梁が中心。
    施主の出番は「四方固めへの参加」「乾杯の挨拶」「ご祝儀を渡す」くらいで、意外と少なめです。
  • 最近は簡略化、または“やらない”家も増加中。
    やる・やらないは施主が決めて大丈夫です。
  • 費用の目安は総額10万〜30万円(簡略化なら数万円)。
    ご祝儀は棟梁1万〜3万円、職人3千〜1万円が目安です。
  • 施主の挨拶は30秒〜1分で十分。
    「感謝」「職人さんへのねぎらい」「完成までのお願い」の3つを短く伝えれば、挨拶として成り立ちます。

家づくりが進んで「上棟(じょうとう)」が近づくと、「上棟式って何をするの?」「自分は何を用意すればいい?」と迷う方は多いものです。
聞き慣れない言葉が並びますが、施主の役割を知ってしまえば身構える必要はありません。

このページでは、上棟式の意味から当日の流れ、施主がやること、費用の目安、服装や挨拶まで、はじめての方がつまずきやすい点をまとめて整理しました。
気になるところは、それぞれの詳しい記事にリンクをたどれるようにしてあります。

目次

上棟式とは?意味・読み方をやさしく解説

上棟式とは、家の柱や梁といった主要な骨組みが組み上がり、屋根のいちばん高いところに「棟木(むなぎ)」を取り付けたタイミングで行う儀式です。読み方は「じょうとうしき」。地域によっては「棟上げ(むねあげ)」「建前(たてまえ)」などとも呼ばれます。

意味あいは大きく2つあります。

ひとつは、ここまで工事が無事に進んだことへの感謝と、完成までの工事の安全を祈ること。
もうひとつは、現場の職人さんへのねぎらいです。

施主が料理やお酒をふるまい、ご祝儀や手土産を渡して、これまでの労をねぎらう交流の場という側面も持っています。

工程としては、基礎工事のあとに木材が搬入され、家の骨組みを一気に組み上げる「建て方」の節目にあたります。
外観がようやく“家らしく”見えはじめる、印象に残りやすいタイミングです。

地鎮祭との違い

同じ家づくりの儀式でも、着工前に行う地鎮祭とは性格が異なります。違いを早見表にまとめました。

項目地鎮祭上棟式
行うタイミング着工前(更地の状態)棟上げ時(骨組みが完成)
主な目的土地の神様に工事の安全を祈る工事の無事への感謝・完成までの祈願+職人へのねぎらい
進行役神主(神社に依頼するのが正式)棟梁・現場監督が中心(神主を呼ばないことも多い)
施主が用意するもの初穂料・お供え物ご祝儀・弁当や飲み物(餅まきをするなら餅や小銭も)
最近の傾向行う人が多いが省略も増加簡略化・省略がさらに進んでいる

ざっくり言えば、地鎮祭は「神様への祈り」が中心、上棟式は「職人さんへの感謝」が中心です。
地鎮祭については、別記事の「地鎮祭とは?流れ・費用・準備を全解説」もあわせてどうぞ。

上棟式の当日の流れ(式次第)

最近は神主を呼ばず、棟梁や現場監督が進行する略式が主流です。

ここでは、その簡易な上棟式の一般的な流れを紹介します。
地域や施工会社によって順番や内容は前後しますが、大きな流れはおおむね共通しています。

  1. 棟木に御幣(ごへい)・棟札を飾る
    棟梁が棟木や祭壇を整えます。施主は見守るだけでOK。
  2. 四方固めの儀
    家の四隅に米・塩・酒・水をまいて建物を清めます。★施主も参加しますが、棟梁が先導してくれます。
  3. 祈願
    祭壇に向かって「二礼二拍手一礼」。★施主も一緒にお祈りします。
  4. ★施主の挨拶・乾杯
    ここから直会(なおらい)に入ります。乾杯のひと言は施主の出番です。
  5. 直会(なおらい)
    軽食やお神酒で職人さんをねぎらう、宴会の時間です。
  6. 餅まき(散餅銭の儀)
    地域によっては、餅・お菓子・小銭を屋根や足場からまきます。行わないことも多いです。
  7. 手締め・お開き
    一本締めなどで締めたあと、★ご祝儀や引き出物を配って終了します。

このように、施主の主な出番は「四方固めへの参加」「乾杯の挨拶」「(あれば)餅まき」「ご祝儀を渡す」の4か所だけ。
式そのものは1時間前後で終わることが多く、難しい作法は棟梁が案内してくれるので、構えすぎなくて大丈夫です。

餅まきをする場合のやり方や準備は、このページの「餅まきをする場合の準備とやり方」で詳しく解説しています。

当日の動きをもっと細かく知りたい方は、「上棟式で施主がやることは?当日の流れと準備」で詳しく解説しています。

上棟式で施主が準備するもの

施主が当日までに用意するものは、おおむね次のとおりです。

お供え物や飾りは地域差が大きいので、まずは施工会社に「何をこちらで用意すればいいか」を確認するのが確実です。

  • ご祝儀……棟梁・職人さんへ渡すお礼。金額の目安は後述します。
  • 弁当・飲み物・お菓子……昼食や休憩用。人数分が必要なので、事前に出席人数を確認しておきます。
  • 引き出物……用意する場合のみ。簡略化なら省くことも。
  • お供え物(酒・米・塩)……施工会社が用意してくれるケースも多いです。
  • 餅・小銭・お菓子……餅まきをする場合のみ。

ご祝儀を入れるのし袋(ご祝儀袋)の書き方は、「上棟式のご祝儀袋の書き方」にまとめています。
地鎮祭ののし袋とは表書きが変わる点があるので、あわせて確認しておくと安心です。

上棟式の費用は総額いくら?

気になる費用ですが、簡易なものなら10万円程度、神主を招いたり餅まきをしたりして盛大に行う場合は30万円前後が目安です。主な内訳を表にまとめました。

項目目安メモ
ご祝儀(棟梁)1万〜3万円現場の代表者へ
ご祝儀(職人・大工)3千〜1万円/人人数を事前に確認
弁当・飲み物1人あたり1,000〜2,000円昼食+休憩のお茶・お菓子
引き出物2千〜5千円/人用意しないこともある
お供え物(酒・米・塩)数千円施工会社が用意することも
餅・小銭(餅まきする場合)1万〜3万円ほど地域による
総額の目安10万〜30万円簡略化すれば数万円に抑えられる

ご祝儀の相場は「上棟式のご祝儀相場はいくら?棟梁・大工さんへの金額目安」、弁当・差し入れの選び方は「上棟式の弁当・差し入れは何がいい?」で、それぞれ詳しく解説しています。

パターン別の総額シミュレーション

総額は「どこまで行うか」で大きく変わります。自分の場合はいくらになりそうか、3つのパターンで目安を比べてみましょう。

パターン内容総額の目安
略式乾杯+挨拶、ご祝儀、飲み物の差し入れのみ数万円〜10万円
標準ご祝儀+弁当+お供え物(神主なし)15万〜20万円
盛大神主+お供え+餅まき+近隣招待30万円前後

ポイントは、ご祝儀と飲食費はほぼ必ずかかる一方で、お供え物・初穂料・餅まきは「やる場合だけ」加算されることです。
この3つを省くかどうかで、総額が大きく動きます。すべてを用意する必要はなく、自分の式に「ある項目」だけを足し算すれば、総額の見当がつきます。

いちばん大きいのはご祝儀|総額は人数で決まる

上棟式の費用でもっとも大きな割合を占めるのが、職人さんや工事関係者へ渡すご祝儀です。
棟梁・職人さんのほか、設計士などの関係者にも渡す場合は、3千〜5千円ほどが目安とされています。

ご祝儀の総額は渡す人数で決まります。
たとえば棟梁1人+職人さん4〜5人なら、合計で5万〜8万円ほどが目安です。当日の人数を事前に施工会社へ確認しておくと、予算が立てやすくなります。

なお、会社の方針でご祝儀を受け取らないハウスメーカー・工務店もあります。
その場合は無理に渡す必要はないので、契約先に一度確認しておくと安心です。当日「受け取ってもらえなかった」という気まずさも避けられます。

神主さんを招く場合に加わる費用

神主さんを招いて正式な式を行う場合は、祭壇に供えるお供え物(神饌物/しんせんぶつ)として、お米・お酒・塩・水・海の幸・山の幸などをそろえます。
こちらは合計1万〜2万円ほどが目安です(上の表の「数千円」は、酒・米・塩を用意する程度の場合の目安です)。

加えて、神主さんへの謝礼として初穂料(はつほりょう)または玉串料を包みます。こちらは2万〜3万円程度が一般的です。

ただし、最近は神主さんを呼ばず、棟梁が式を進行する略式が主流です。略式ならお供え物や初穂料は不要なことが多く、その分だけ総額は下がります。
お供え物や御幣(ごへい)を工務店が用意してくれる場合もあるので、何が費用に含まれているかを事前に確認しておきましょう。

費用を抑える3つのコツ

「お祝いの気持ちは大切にしつつ、無理のない範囲で」という場合は、次の3点が抑えどころです。

  1. 神主さんを呼ばず略式にする
    お供え物・初穂料が不要になり、いちばん効果があります。棟梁が進行する略式が今の主流です。
  2. 直会は乾杯だけにする
    弁当や宴会の代わりに、持ち帰り用のお菓子・缶詰・お酒などを配れば、飲食費を抑えられます。
  3. ご祝儀の有無を施工先に確認する
    会社として受け取らない場合は、その分が丸ごと不要になります。

無理に盛大にする必要はなく、職人さんへの感謝が伝われば十分という考え方も広がっています。
反対に、せっかくの節目なのでしっかりお祝いしたい場合は、上の「盛大」パターンを目安に予算を組んでおくと安心です。

地鎮祭とあわせた費用の見通し

着工前の地鎮祭は神様への儀式が中心のため、初穂料(3万〜5万円)が費用の主役で、総額は3万〜6万円ほどです。上棟式は職人さんへのご祝儀やもてなしが中心、という違いがあります。
両方を予定している方は「地鎮祭の費用は総額いくら?」もあわせて確認しておくと、家づくり全体のお金の見通しが立てやすくなります。

上棟式の服装と挨拶のポイント

服装は「普段着よりややきれいめ」が基本です。

神主を呼ぶ正式な式か、大工さん中心の略式かで目安は少し変わりますが、作業を伴う場面では動きやすさを優先して問題ありません。
足元はサンダルを避けるなど、最低限のマナーだけ押さえておけば十分です。
詳しくは「上棟式の服装は何を着る?」で確認できます。

施主の挨拶(場面別の文例)

挨拶は、乾杯のときと式の締めの2回が施主の出番です。

盛り込む要素は「①これまでの感謝」「②職人さんへのねぎらい」「③完成までのお願い」の3つだけ。
短くても誠意は十分伝わります。場面ごとにそのまま使える例文を、以下にまとめました。

地域や施工会社によっては、作業が始まる前の「開始のひとこと」を求められることもあります。
長さの目安は30秒〜1分。以下の例文は、〇〇を自分の名前に置き換えればそのまま使えます。

開始の挨拶(作業前のひとこと)

皆さん、おはようございます。施主の〇〇です。
本日はお集まりいただき、ありがとうございます。
一日、お怪我や事故のないよう、どうぞよろしくお願いいたします。

これから作業に入る職人さんには、長い挨拶よりも「安全第一でお願いします」のひとことのほうが喜ばれます。

乾杯の挨拶

皆さん、本日は誠にありがとうございます。施主の〇〇です。
おかげさまで、無事に上棟を迎えることができました。これも棟梁をはじめ、職人の皆さんのお力のおかげです。心より感謝申し上げます。
完成を家族一同、楽しみにしております。引き続き、安全に気をつけて作業を進めていただければと思います。
それでは、皆さまのご健康とご多幸、そして工事の安全を祈って——乾杯!

掛け声は「乾杯!」が基本で、少しやわらかくしたいときは「お疲れさまでした、乾杯!」でも構いません。
乾杯の音頭を棟梁や現場監督にお願いするケースもあるので、どちらが行うか事前に打ち合わせておくと安心です。

締め(お開き)の挨拶

皆さん、本日は長時間にわたり、本当にありがとうございました。
おかげさまで、すばらしい一日になりました。
完成まで、どうぞよろしくお願いいたします。気をつけてお帰りください。

略式で1回にまとめる場合
神主なしの略式や少人数で行う場合は、開始と乾杯を兼ねた1回の挨拶で済ませることもできます。

本日はお集まりいただき、ありがとうございます。施主の〇〇です。
無事に上棟を迎えられ、ほっとしております。完成を楽しみにしておりますので、どうぞよろしくお願いします。
ささやかですが、お食事をご用意しました。安全第一で、引き続きお願いいたします。

近所の方への一言(餅まきなど人が集まる場合)
工事中の音などで迷惑をかける点にひとこと触れておくと、印象がよくなります。

本日はお越しいただき、ありがとうございます。〇〇と申します。
工事中は何かと音などでご迷惑をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

場面ごとに何を言えばいいかを、早見表にまとめました。

場面タイミング盛り込む要素ひとことで言うと
開始の挨拶作業が始まる前感謝+安全のお願い「今日はよろしく、安全第一で」
乾杯の挨拶食事・お酒をふるまうとき感謝+ねぎらい+完成への期待3要素すべて+「乾杯!」
締めの挨拶お開きの前感謝+今後のお願い「ありがとう、引き続きよろしく」
略式・短縮開始と乾杯を兼ねる感謝+完成への期待短いパターン1つでOK
近所への一言餅まきなど人が集まる場来訪のお礼+お詫び「お越しありがとう、ご迷惑をかけます」

緊張が心配な場合は、メモやスマホを見ながら話しても問題ありません。
完璧な敬語より「無事に組み上がって、本当にうれしいです」のような自分の言葉のほうが職人さんには響きますし、話は長くなるより短く切り上げるほうがスマートです。

地鎮祭の施主挨拶も、同じく「盛り込む要素は3つだけ」という考え方で組み立てられます(参考:地鎮祭の施主挨拶)。

餅まきをする場合の準備とやり方

餅まき(餅投げ)は、棟上げのときに屋根や足場の上から餅や小銭を撒く行事です。
もとは「散餅の儀(さんぺいのぎ)」「散餅銭の儀」と呼ばれる、家を建てることで生じる厄災を祓うための儀式が広まったもの。撒いた餅を近所の人が拾うことで、新築の福を地域にお裾分けするという意味が込められています。

ただし、建売住宅の一般化や近所付き合いの変化もあって、最近は餅まきをしない家のほうが多くなっています。今も盛んなのは静岡県西部など一部の地域に限られ、行わなかったからといって縁起が悪くなるものではありません。
一方で、ご近所への顔見せになり、子どもや地域の人に喜ばれるという良さもあります。地域の慣習や親世代の希望がある、にぎやかにお祝いしたい、という場合は、次の準備を目安に進めてみてください。

撒くものと用意する量の目安

撒くものは地域によって少しずつ違いますが、基本は次の4つです。

撒くもの内容・目安ポイント
紅白餅主役。個包装した小さめの餅衛生面からラップや袋で個包装が必須。和菓子屋・餅屋に予約
四隅餅(隅餅)一回り大きい餅を4個家の四方(東西南北)の守りを願うもの。最初に撒く特別な餅
小銭(おひねり)5円玉・50円玉を半紙で包む縁起の良い穴あき硬貨が定番
お菓子飴・駄菓子・個包装スナック餅だけだとすぐ終わるため「かさまし」に。子どもに人気

地域によっては、タオルや日用品を加えることもあります。何を撒くかは土地の慣習で変わるので、施工会社や年配のご近所さんに一度確認しておくと安心です。

量の目安は、個数で頼むなら紅白餅150〜350個ほどで、来場人数や撒く時間で調整します。和菓子屋では「餅米1升(約1.5kg)」のように升単位で頼むことが多く、個包装済みの市販の投げ餅セットを使えば準備の手間を減らせます。
費用は上の表のとおり、餅・小銭で1万〜3万円ほどが目安です。近隣の方を広く招く規模になると、もう少しかかることもあります。

小銭は、そのまま撒くと当たって危ないため、半紙やティッシュで包んだ「おひねり」にするのが基本です(赤い紐を通して撒く地域もあります)。
金額は縁起をかついで、1年365日の幸せを願う「365」(365枚、3,650円など)や、末広がりの「8888円」、割り切れない奇数でそろえる、といった決め方が定番です。決まりはないので、無理のない範囲で語呂の良い数字にすれば十分です。

餅は2か月前には予約を。餅まき用の餅は数が多いため、直前だと間に合わないことがあります。
自作は食中毒のリスクがあるため、餅屋・和菓子屋など専門店への依頼が無難です。

撒く順番と当日の流れ

餅まきは、四方固めなどの儀式を終えたあと、建ち上がった家の2階や足場から、庭や道路へ向かって撒きます。撒く順番は次のとおりです。

  1. 声かけ・安全案内 … 集まった人へ「お子さん・お年寄りは前へ」「上を向いて拾わないで」など注意事項を伝える
  2. 四隅餅(隅餅)を撒く … 家の四方に向けて、まず大きい四隅餅を投げる
  3. 紅白餅を撒く … メインの餅を全体へ、まんべんなく
  4. お菓子・小銭を撒く … 終盤に向けてにぎやかに盛り上げる
  5. 締めのあいさつ … 拾ってくれたお礼をひとこと

施主自身も2階から撒くことが多いですが、足場の上は慣れていないと危険です。
撒く位置や役割は、棟梁・職人さんと事前に相談しておきましょう。

近所への声かけと安全対策

餅まきは人が集まる行事なので、事前の声かけと当日の安全対策が欠かせません。

  • 事前に近所へ知らせる
    日時を伝えてお誘いします。回覧や口頭で声をかけておきましょう。
  • 子ども・高齢者を前方に
    餅の取り合いで転倒やけがが起きやすいため、小さな子やお年寄り用に前方のスペースを設けます。
  • 上を向いて拾わせない
    落ちてくる餅や小銭が顔に当たらないよう、足元の餅を拾うよう案内します。
  • 道路にかかる場合は注意
    通行や駐車の妨げにならないよう配慮し、必要なら見守り役を置きます。
  • 雨天・強風時の判断
    足場の上は滑りやすく危険です。悪天候なら中止・延期、または安全な範囲での実施に切り替えます。

餅まきは、庭や前面道路などある程度の広さと安全が確保できる場所が前提です。スペースが取れない場合は、無理に行わず差し入れや挨拶で代える形でも十分です。
集まった方への挨拶には、上の「施主の挨拶(場面別の文例)」にある近所の方への一言が使えます。

上棟式はやらない・簡略化してもいい?

結論から言うと、上棟式は必ず行わなければならないものではありません。
そもそも棟上げが存在しない工法では上棟式自体が行われませんし、やる・やらないの決定権は施主にあります。

近年は、費用や準備の負担を考えて、省略したり大幅に簡略化したりするケースが珍しくなくなっています。

一方で、上棟式は施主と職人さんが顔を合わせて親睦を深める良い機会でもあるため、「ご祝儀と差し入れだけは渡す」「餅まきだけ行う」といった、いいとこ取りの簡略版を選ぶ人もいます。

やらない人が増えている背景

上棟式を省略する施主が増えている背景には、次のような事情があります。

  • ハウスメーカーでの建築が主流になった
    分業制で現場に「棟梁」がいないことも多く、式の中心となる人がはっきりしないため、省略されやすくなっています。
  • 建築会社側が省略を前提にしていることがある
    安全と工程を優先して式典を行わない会社もあり、「最近はやらない方が多いですよ」と案内されることもあります。
  • 準備の負担が大きい
    日取りや人数の確認、弁当やご祝儀の手配、近隣への声かけなど、施主側の段取りは意外と多くあります。
  • 都市部では地域のつながりが薄い
    近所を巻き込む餅まきのような行事は、都市部では実施しにくくなっています。

一方で、地方や昔ながらの工務店では、今でも上棟式が根強く残っている地域もあります。「最近はやらない」が全国どこでも当てはまるわけではない点は、押さえておきましょう。

なお、上棟式をやらなくても、工事そのものへの悪影響はありません。
式の有無は工事の発注内容とは切り離されたもので、職人さんはプロとして、式の有無にかかわらず仕事をしてくれます。

やる・やらないの判断基準

迷ったときは、次の表を判断材料にしてみてください。

判断のポイントやる方向に傾く場合やらない方向に傾く場合
建築会社工務店中心で棟梁がはっきりしている大手ハウスメーカー/分業制で棟梁が不在
地域の慣習地方・餅まき文化が残る土地都市部・新興住宅街・大規模分譲地
親世代の考え「家を建てるなら式は必須」という価値観とくにこだわらない
施主の気持ち職人さんへの感謝を形にして残したい手間と費用をかけたくない
段取りの余裕準備に時間を取れる共働きなどで余裕がない

すべてが一方向にそろうとは限りません。当てはまる項目が多いほうを選べば十分で、ひとつでも「やりたい」気持ちが強ければ、それを優先してかまいません。
反対に、負担のほうが大きいと感じるなら、無理に行う必要もありません。

ひとつ知っておきたいのは、上棟式は本来施主が職人さんをもてなす行事だということです。
そのため施工会社に「上棟式はやったほうがいいですか?」と尋ねると、「職人さんをもてなさなくても大丈夫ですか?」と聞いているような形になってしまいます。やりたい場合は、相談というより「ぜひやりたいので準備したい」と意思を伝えるほうがスムーズです。

やらない場合に代わりにできること

上棟式を行わないと決めても、「感謝の気持ちだけは伝えたい」という人は多いものです。
省略=何もしない、ではありません。式の要素を分けて、できる範囲だけ取り入れる方法があります。手軽な順に並べると、次のとおりです。

  • 差し入れだけする
    棟上げの日に現場へ顔を出し、お茶・コーヒー・お菓子などを差し入れます。夏は冷たい飲み物、冬は温かい飲み物が喜ばれ、費用も数百円〜数千円ほどで済みます。
  • 見学に行って挨拶だけする
    1日で屋根まで組み上がる棟上げは、見ているだけでも感動するものです。現場監督や大工さんに直接「ありがとうございます」と伝えるだけでも、気持ちは十分に伝わります。
  • 手土産(持ち帰り用)を渡す
    紅白まんじゅう・お赤飯・個包装のお菓子など、その場で食べなくても持ち帰れるものを人数分用意します。
  • ご祝儀だけ渡す
    相場は棟梁1万〜3万円、大工さん・職人さん3千〜1万円が目安です。渡す人数が多いと総額がかさむので、予算と相談して決めましょう。
  • 餅まきだけ行う
    式典は省いて、近所を巻き込む餅まきだけ行うという選択もあります。準備の目安は上の「餅まきをする場合の準備とやり方」を参考にしてください。

差し入れや手土産の選び方は「上棟式の弁当・差し入れは何がいい?」で詳しく解説しています。
金額や慣習は地域や建築会社の方針でも変わるので、担当者に「皆さん、どうされていますか?」と聞いてみるのが確実です。

やらないと決めたときの注意点

  1. 建築会社に一度は確認する
    会社や地域によっては、棟札(むなふだ)の取り付けなど最小限の儀を行うこともあります。当日、施主が立ち会うべき場面があるかどうかも確認しておくと安心です。
  2. 親世代との温度差に注意する
    自分たちは納得していても、親や祖父母世代が「式は必須」と考えていることがあります。事前にひとこと共有しておくと角が立ちません。
  3. 「何もしなかった」後悔を避ける
    実際に棟上げを見て「何かお礼をしたかった」と後から思う人もいます。式は行わなくても、飲み物の差し入れをひとつ用意しておくと、気持ちの面でもすっきりします。

地鎮祭でも、同じように「やらない」という選択が増えています。着工前の儀式についても迷っている方は、「地鎮祭をやらない場合の考え方」もあわせて読むと、家づくり全体の儀式の考え方を整理できます。

よくある質問(FAQ)

上棟式は必ずやらないといけませんか?

いいえ。やる・やらないは施主の自由で、最近は省略する人も増えています。
地域や工務店の慣習も影響するので、迷ったら施工会社に相談してみてください。

神主さんは呼ばないとダメですか?

最近は棟梁が進行する略式が主流で、神主を呼ばないことも多いです。
神主を招いて神式で行う場合は、初穂料や玉串料が別途必要になります。

ご祝儀は誰にいくら渡せばいいですか?

目安は棟梁1万〜3万円、職人さんは3千〜1万円ほどです。
詳しくはご祝儀相場の記事をご覧ください。

雨の日はどうなりますか?

上棟は骨組みを組み上げる工程のため、天候や工程の都合が優先されます。
式自体は決行することが多いですが、判断は施工会社と相談して決めましょう。

上棟式の準備は施主がぜんぶやるのですか?

いいえ。多くの場合、施工会社が手配や進行を主導してくれます。
施主が用意するのはご祝儀や弁当などが中心で、負担は思ったより大きくありません。

上棟式をやらないのは、職人さんに失礼ですか?

失礼にはあたらないと考えられています。最近は省略する施主も多く、職人さんも慣れています。
気になる場合は、飲み物やお菓子の差し入れだけでも十分に気持ちは伝わります。

上棟式をやらない場合、費用はかかりませんか?

式そのものを行わなくても、当日の差し入れ(お茶・お菓子)やご祝儀だけ用意する方は多くいます。数千円〜数万円程度を見ておくと安心です。
何も渡さなくてもマナー違反ではないので、感謝を形にしたい場合の目安として考えてください。

乾杯の音頭は施主がやるものですか?

施主が行うのが基本ですが、棟梁や現場監督にお願いするケースもあります。
どちらが音頭をとるか、当日までに棟梁や担当者と軽く打ち合わせておくと、あわてずに済みます。

餅まきの餅はどこで用意すればいいですか?

餅屋・和菓子屋への予約か、個包装済みの市販の投げ餅セットを使うのが手軽です。数が多く、2か月前には予約が必要なこともあるので早めに手配しましょう。
ハウスメーカーによっては準備物を指定・代行してくれることもあるため、まず施工会社に確認すると確実です。

まとめ

上棟式は、棟上げの節目に「これまでの感謝」と「完成までの祈り」、そして「職人さんへのねぎらい」を伝える儀式です。
進行は施工会社や棟梁が引き受けてくれるので、施主の出番は四方固めへの参加・乾杯の挨拶・ご祝儀を渡すくらい。
費用の目安は総額10万〜30万円で、簡略化すれば数万円に抑えることもできます。

やる・やらないも含めて、判断するのは施主自身です。

基本さえ押さえておけば、当日に迷うことはほとんどありません。
気になる項目から、それぞれの詳しい記事をたどってみてください。

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