30秒まとめ
- お布施は読経の料金ではなく「布施」のため、寺院が金額をはっきり示さないことが多い
- 目安は四十九日・一周忌で3万〜5万円、三回忌以降で1万〜5万円、初盆で3万〜5万円
- 自宅や会館に来ていただく場合はお車代、僧侶が会食に同席されない場合は御膳料を、それぞれ5千〜1万円ほど別に用意するのが一般的
- 金額は宗派・地域・菩提寺とのお付き合いで幅があり、ここで紹介する数字もあくまで目安
- 迷ったときは、寺院や檀家総代、親族に「皆さまどのくらいお包みされていますか」と尋ねてかまいません
法事のお布施は「決まった料金」ではない
法事のお布施は、四十九日や一周忌で3万〜5万円ほどが目安とされています。ただし、この金額は寺院が定めた料金ではありません。まずはお布施がどういうお金なのかを押さえておくと、金額の考え方が整理しやすくなります。

お布施は読経の対価ではなく「布施」
お布施(おふせ)は、僧侶に読経していただいたお礼として包むお金です。ただし本来の意味は、仏教の修行のひとつである「布施」、つまり見返りを求めずに施すことにあります。
そのため、お布施は読経や法要に対する「代金」ではなく、ご本尊にお供えし、寺院を支えるために納めるものと考えられています。表書きが「御布施」であって「読経料」ではないのも、この考え方によるものです。
寺院が金額をはっきり示さない理由
お布施の額を尋ねたときに「お気持ちで結構です」と言われることがあります。これは、布施が施す側の気持ちで行うものであり、寺院の側から金額を指定するのは本来の意味にそぐわない、という考え方があるためです。
一方で、施主として初めて法事を営む方にとっては、「お気持ち」と言われても判断がつかないものです。そこで、葬儀社や仏壇店などが紹介している一般的な目安を参考にしながら、必要に応じて寺院や親族に尋ねて決める、という流れが現実的です。
法要別|お布施の目安早見表
法要ごとのお布施の目安をまとめました。いずれも地域や宗派、寺院とのお付き合いによって幅がある数字です。
| 法要 | お布施の目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 四十九日 | 3万〜5万円 | 納骨を併せる場合は多めに包む傾向 |
| 一周忌 | 3万〜5万円 | 四十九日と同程度とする家庭が多い |
| 三回忌以降 | 1万〜5万円 | 回を重ねるほど控えめになる傾向 |
| 初盆(新盆) | 3万〜5万円 | 四十九日後に初めて迎えるお盆 |
※ お車代・御膳料は含みません(次の章で解説します)。

四十九日法要
四十九日は、故人が亡くなってから四十九日目を忌明けの節目として営む法要です。お布施の目安は3万〜5万円とされています。
四十九日にあわせて納骨式を行う家庭も多く、その場合は納骨の読経も含めて、四十九日単独のときより多めに包む傾向があります。どの程度上乗せするかは寺院によって考え方が異なるため、心配な場合は依頼の際に確認しておくと安心です。
一周忌法要
一周忌は、亡くなった翌年の命日の頃に営む法要です。お布施の目安は四十九日と同じく3万〜5万円とされています。
一周忌までは親族を広く招いて営むことが多く、法要の規模も四十九日に近いため、四十九日と同じ額を包む家庭もよく見られます。
三回忌以降の年忌法要
三回忌以降の年忌法要では、お布施の目安は1万〜5万円と幅が広くなります。三回忌は一周忌に近い額を包み、七回忌、十三回忌と回を重ねて参列者が身内中心になるにつれ、控えめな額にしていく傾向があります。
年忌法要は数年おきに巡ってくるため、前回いくら包んだかがわからなくなりがちです。施主として包んだ額を控えておくと、次の法要のときの目安になります。
初盆(新盆)
初盆は、四十九日を過ぎてから初めて迎えるお盆のことで、通常のお盆より丁寧に供養する地域が多く見られます。お布施の目安は3万〜5万円です。
初盆の時期や迎え方には地域差があり、僧侶が複数の家を回る棚経(たなぎょう)の形をとる地域もあります。
お布施とは別に用意する「お車代」と「御膳料」
法事では、お布施のほかにお車代や御膳料を用意することがあります。どちらも必ず必要なものではなく、法要の会場や会食の有無によって要否が変わります。
| 名目 | 目安 | 用意する場面 | 不要とされる場面 |
|---|---|---|---|
| お車代 | 5千〜1万円 | 自宅・会館・霊園などに来ていただく | 寺院で法要を営む/施主が送迎を手配する |
| 御膳料 | 5千〜1万円 | 僧侶が会食を辞退される/会食を設けない | 僧侶が会食に同席される |
お車代が必要な場合・不要な場合
お車代(御車代)は、僧侶に寺院から自宅や会館などまで足を運んでいただく交通費へのお礼です。寺院の本堂で法要を営む場合は、一般的に用意しません。
自宅などで営む場合でも、施主側がタクシーや車で送迎を手配したときは不要とされています。距離が遠い場合は、目安の範囲内で多めにする考え方もあります。
御膳料が必要な場合・不要な場合
御膳料は、法要後の会食(お斎)の代わりにお渡しするお金です。僧侶が会食に同席される場合は用意しません。
僧侶が次の予定などで会食を辞退された場合や、そもそも会食を設けない場合に、御膳料としてお包みするのが一般的です。
封筒はお布施と分けるのが一般的
お車代と御膳料は、お布施と同じ封筒に入れず、それぞれ別の封筒に「御車代」「御膳料」と書いて用意するのが一般的です。お渡しする際は、お布施と一緒にまとめて差し出します。表書きや名前の書き方、重ねる順番は、お車代と御膳料の書き方で解説しています。
ケース別|合計でいくら用意するか
一周忌を例に、会場と会食の有無による合計額の目安をまとめました。
| ケース | 用意するもの | 合計の目安 |
|---|---|---|
| 寺院で法要・僧侶が会食に同席 | お布施のみ | 3万〜5万円 |
| 自宅で法要・僧侶が会食に同席 | お布施+お車代 | 3万5千〜6万円 |
| 自宅で法要・会食なし(または辞退) | お布施+お車代+御膳料 | 4万〜7万円 |
※ 寺院で営み、僧侶が会食を辞退された場合は「お布施+御膳料」になります。
金額に幅が出る条件
同じ一周忌でも、家庭によって包む額は異なります。金額に差が出やすい条件を知っておくと、目安のどのあたりで考えればよいかが見えてきます。
宗派による差
お布施の額は宗派によって傾向が違うといわれることがあります。ただし、同じ宗派でも寺院や地域によって考え方は大きく異なり、「この宗派は高い」「この宗派は安い」と一律に言えるものではありません。
浄土真宗では、お布施を「阿弥陀如来へのお礼(ご報謝)」と受け止めるなど、宗派ごとにお布施の意味づけの違いはありますが、これは優劣ではなく教えの違いです。金額は宗派名から判断するより、お世話になる寺院の考え方に合わせるのが自然です。
地域や菩提寺とのお付き合い
お布施の目安には地域の慣習が強く表れます。同じ法要でも、地域によって包む額の相場観が違うことは珍しくありません。
また、代々お付き合いのある菩提寺の場合は、日頃の護持会費や寄付、それまでの法要で包んできた額との釣り合いも考慮されます。ネット上の一般的な目安よりも、その土地・その寺院での慣例を優先して考えるのがよいでしょう。
自宅・寺院・会館など会場の違い
お布施そのものの額は会場によって大きく変えないことが多く、違いが出るのは主にお車代の有無です。自宅に来ていただく場合は、お布施とは別にお車代を用意します。
2人分をまとめて営む場合・寺院の合同法要
祖父母の年忌が同じ年に重なった場合などに、2人分の法要を1回でまとめて営むことを「併修(へいしゅう)」といいます。併修の場合、読経の機会は1回のため、お布施を単純に2人分にはしないとする説明が多く見られますが、どの程度にするかは寺院の考え方によって異なります。
また、お盆やお彼岸に寺院が複数の家の供養をまとめて行う合同法要では、個別の法要よりも控えめな額になるのが一般的です。寺院から金額が案内されることも多いため、案内に従いましょう。
金額に迷ったときの尋ね方
お布施の額を寺院に尋ねることは、失礼にはあたらないとされています。聞き方を少し工夫すれば、寺院の側も答えやすくなります。
寺院に尋ねるときの言い方
「いくらですか」と料金を尋ねる聞き方より、ほかの家庭の例を伺う形にすると、布施の考え方に沿った尋ね方になります。
- 「初めて施主を務めるので不慣れなのですが、皆さまどのくらいお包みされていますか」
- 「一周忌のお布施について、目安があれば教えていただけますか」
- 「お車代や御膳料も別にご用意したほうがよろしいでしょうか」
法要の日程を依頼する電話のときに、あわせて尋ねておくと当日に慌てずに済みます。
「お気持ちで」と言われた場合
「お気持ちで結構です」と言われた場合は、「〇万円ほどを考えているのですが、よろしいでしょうか」と、具体的な金額を挙げて伺う方法もあります。目安の幅を教えてもらえることも多いです。
それでも答えにくそうな様子であれば、無理に聞き出す必要はありません。この記事で紹介した目安や、次に紹介する相談先の情報をもとに決めてかまいません。
親族・檀家総代・葬儀社に聞く
寺院に直接尋ねにくい場合は、次のような人に聞く方法もあります。
| 相談先 | 聞けること |
|---|---|
| 親族(前回の施主など) | その家でこれまで包んできた額 |
| 檀家総代・世話役 | その寺院・地域での慣例的な額 |
| 葬儀でお世話になった葬儀社 | 地域で一般的な目安 |
特に、以前の法事で施主を務めた親族がいれば、その家での慣例がわかるため参考になります。
お布施の金額で気をつけたいこと

4や9を避ける考え方
お布施には、厳密に「包んではいけない金額」はないとされています。一方で、「4」や「9」は「死」「苦」を連想させるとして、4万円や9万円を避ける人もいます。
偶数についても、香典ほど気にしなくてよいとする考え方がある一方で、割り切れる数を避ける人もいます。気になる場合は、3万円・5万円のように避けられる数字を選んでおくと、迷わずに済みます。
新札・封筒・渡し方も確認を
お布施は、香典とは異なり新札を用意してよいとされることが多く、白い封筒や奉書紙に包んで、切手盆や袱紗にのせてお渡しします。表書きの書き方や渡すタイミングは地域の慣習にもよるため、準備の段階であわせて確認しておきましょう。封筒の選び方から表書き・中袋の書き方までは、お布施の書き方でまとめています。
用意が間に合わない・負担が重いと感じるとき
法要の直前で新札や封筒の用意が間に合わなくても、気持ちが伝わらなくなるわけではありません。手元にあるきれいなお札を使い、白い封筒に包めば十分とされています。
お布施の額が負担に感じる場合は、目安の下限で考える、施主だけで抱え込まず親族で分担するといった方法もあります。事情があるときは、寺院に率直に相談してかまいません。
よくある質問(FAQ)
まとめ
法事のお布施は、読経の料金ではなく「布施」として納めるものです。そのため寺院が金額を示さないことが多く、四十九日・一周忌で3万〜5万円、三回忌以降で1万〜5万円、初盆で3万〜5万円という数字も、あくまで一般的な目安です。
自宅などに来ていただく場合はお車代、僧侶が会食に同席されない場合は御膳料を、それぞれ別の封筒で用意します。金額は宗派・地域・菩提寺とのお付き合いで幅があるため、迷ったときは寺院や檀家総代、以前施主を務めた親族に尋ねて、その家・その土地に合った額を決めていきましょう。
